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帰郷~辿る道での邂逅~
2007年11月29日 (木) | 編集 |
車窓から見える景色がゆっくりと変わっていく。
徐々に高層ビルが少なくなり、鮮やかに彩られた山々が増えていく。
京都駅前とは違い、建物は低く、ぽつりぽつりと立派な屋根瓦が頭を出し、
陣者の鳥居や寺社の立派な門も視界に飛び込んでくる。
何となく懐かしいような、そうでないような。
ぼんやりと外の景色を眺めていると、背後から感じる微かな視線。
そっと窓ガラスに映る背後へと視線を変えると、隣の青年が自分と同じように、
瞳を軽く伏せたまま、外の景色を眺めていた。
電車に揺られること十数分。
目的の駅へと到着する。
人々が一斉に降りていくのを見つめながら、
ゆっくりと席から腰を上げる。
隣の青年も億劫そうに腰を上げ、電車を降りていく。
その姿を見送りつつ、人の列に混じって電車を降りる。
ずらりと軒を連ねる土産屋の数に驚きつつ、
辺りを見回して交番を探す。
大体の場所は分かったと言っても、
この先の道をどう行けば家があるのかははっきりと覚えていない。
「すいません、少しお尋ねしたいんですけど。」
目に留まった交番に駆け込んで、道を尋ねる。
「…よ、宵凪さんって言うお宅…この辺にあると思うんですけど。」
地図を指差して、この辺りの筈と話していると、
お巡りさんも地図を取り出す。
「この辺にそんな家あったかな…。」
とぶつぶつ独り言のように小さい声で呟くと、
「詳しい家の場所はわかりませんけど、大体の行き方だけ書きましょか。」
と地図の上にペンを走らせる。
どの道をどこで曲がるのか、目印になる建物はどんな物があるのか、
丁寧に書き込んでくれた地図を見て少し安心する。
「あ、ありがとうございました。助かります。」
「でも…その格好じゃしんどいかもしれませんよ?」
お礼を言うと、苦笑しながら答えるお巡りさん。
家で着ていた頃の洋服の方が分かりやすいだろうと、
箪笥の奥に仕舞いこんでいた着物を聖雪ちゃんに着付けして貰ったのだ。
「遠いんですか?」
「…歩いて1時間くらいかな。」
ちょっと遠いかもしれないが、歩けない距離ではない。
バスも通ってるよと教えられたが、なるべく時間はゆっくりの方が良い。
歩いている間に少しでも気持ちの整理を付けたい。
「大丈夫、体力には自信ある方…なんです。」

そう言って交番を出て、どれくらい歩いただろう。
活気に満ち道にも人が溢れていたのに、人気はなくなり、
静かで清清しい空気に包まれた道が続く。
「こんな所…歩いたっけ…。」
確かに家を出た時には一度通っている筈。
だが、どうにも記憶の中の景色と符合しない。
あの時は猫の姿で移動していたから、道という道を通らなかったのかもしれないが…。
地図を片手にきょろきょろと周囲の光景に目を配らせるが、
さっぱりぴんとこない。
困り果てて、道の脇にある石垣に腰を掛け、空を仰ぐ。
綺麗に晴れた雲一つない空。
そして道に迷って途方に暮れる自分。
「…何かさっぱりダメなんよ。」
旅に出て幾度目だろうか、深く溜息をついた時。
「……迷ったんか?」
掛けられた声に驚いて、石垣の上から飛び跳ねるように立ち上がる。
「あ、うん、そうなんで…す。」
見上げた視線の先、
そこには電車の中隣に座っていた、
少し無愛想な青年が佇んでいた。
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